この留学をしていなかった自分が想像できないほど、その時間を通して価値観は大きく変わりました。だからもし、何かに悩んで、ちょっと時間がほしくなったら、留学で好きな国や街に住んでみるのはとてもいいと思います。
一番の変化は、私がこれから働く、生きていく上で、大事にしたいものに気づけたこと。
名前 : なつほ
留学開始時の学年 : 修士1年
留学開始時の所属 : 土木・環境工学系
卒業年月 : 2021年3月
留学プログラム : 派遣交換留学
留学先 : スウェーデン,ストックホルム
所属先 : KTH スウェーデン王立工科大学
留学時期 : 2018年8月20日 〜 2019年6月21日
留学期間 : 約10ヶ月
他の留学経験 : 超短期派遣プログラム(フィリイピン、マニラ),TAIST(タイ、バンコク),インターンシップ・ボランティア(フィリピン、マニラ)
総費用 : ~200万
奨学金 : 有り
奨学金名称 : トビタテ!留学JAPAN 日本代表プログラム
奨学金応募時期 : 2018年9月1日
受給金額 : 準備金25万円、月16万×10か月(スウェーデン)+月12万円×3か月(フィリピン)、合計221万円
卒業時期 : 1年遅れた
高校生の時から途上国支援に関心があって、それで将来はそういった方面に携われたらなと思っていたので、現在の専門を選択しました。だから海外意識というのは高校生頃からありました。でも留学したいという気持ちはあまりなくて、その中でスウェーデンへの留学を決めたのは、一度ゆっくり立ち止まって考える時間がほしいと思ったからでした。
学部時代はずっとダブルダッチが全てで、勉強は研究室が選べる最低限だけはしようっていうのが私の小さな目標でした。それで無事に学部4年生になって、研究室も選べてってなった時に、次の目標を考えようと思ったんですけれど、全然思い描けなくて。途上国支援をしたいっていう気持ちはあったけれど、今すぐにしたいのかとか、どういった立場でしたいのかっていうのも、あまりピンと来なかったし、だからと言って研究を続けてドクターに行きたいという思いもなかった。それに何より、土木という分野も学科も大好きではあったけれど、女性が少なかったり、現地を行き来する生活に自分のライフプランとのギャップも不安でした。それから、途上国支援に興味を持つきっかけになった環境についても、もっと知りたいしもっと大事にしていきたいのに、これまで全然勉強できていなかったなと思いました。
だから留学という形で一年より道の時間を取って、自分がどう働きたいのか、どう生きたいのか、考える時間にしようと思いました。それからその時間の中で、せっかくだから今まであまり勉強できなかった環境のことを勉強してみようと思いました。スウェーデンという国はその意味で、男女平等の先進国であり、環境先進国であり、この余分な時間を取るのには理想的な環境でした。私はジブリの魔女の宅急便が大好きであったので、1年間修業をするように、海の見える街ストックホルムで生活してみたいと思うようになりました。
10か月の交換留学のうち、秋学期は授業履修を、春学期は研究活動をメインにするという、授業と研究の両方を経験できるような計画を立てて留学しました。それから、スウェーデンと日本の夏休みの時期の違いで、留学後は約4か月の夏休みが手に入ることも分かっていたので、スウェーデンに留学後はどこか東南アジアの交通系でインターンシップをしたいなとも考えていました。スウェーデンで環境と交通について学んで、自分のこれからの暮らし方を整理して、その上で途上国の交通プロジェクトの実務を経験することで、その分野が自分に合っているのかをちゃんと考えたいと思ったからです。
授業はいろいろな国の留学生が履修していたので、その中にポーンと放り込まれて、語学の壁とか、国民性の違いとか、荒波にもまれながらも、環境と交通についてたくさん勉強できました。特にどの授業も最終課題にグループワークが設定されていることが多く、欧米の学生は皆それに献身的でした。いろいろな人がいるグループの中で、たくさん議論して、役割分担をして、協働で一つのプロジェクトをやるというのは本当に楽しく、留学を通してグループワークが大好きになりました。
研究は初めてのアプローチで研究だったこともあり、大変でしたが、私の指導にあたってくださった先生がとても素敵な方で、毎週のミーティングで励まされ、アドバイスをもらいながら、なんとか行うことができました。それから、スウェーデン人ばかりのコミュニティに身を置くことができたのも、現地で少しでも研究を行えてよかったなと思っている点です。私の指導にあたってくれた先生をはじめ、交通ユニットの先生方の半分は女性の方で、その多くは小さい子供を抱える母でした。これだけたくさんの女性が仕事と家庭を両立させながら第一線で活躍している姿には本当に感銘を受けました。
スウェーデンで一番好きなものは何?って聞かれたら、それはたぶん自然だと思います。
私の通っていた大学はストックホルム中心部にあるのに、校内をウサギが跳ねているし、裏の森では野生の鹿が歩いています。夏の白夜の頃に北に行った時には、野生のムース(ヘラジカ)に遭遇し、かなりの衝撃でした。友達に聞くとストックホルム郊外にある実家でもムースが庭に来たことがあるよと言っていて、それはさすがに聞いていて怖かったです。
北欧の夏は一日中外にいられて最高に楽しいけど、冬だって凍った湖でスケートをしたり、暗い中を素敵なろうそくの明かりで過ごしたり、北欧の冬も実は好きです。冬から春、春から夏にかけて、毎月のようにスウェーデンの友達のお母さんのおうちに行って、スウェーデン料理や編み物を教えてもらっていました。そうする中で、スウェーデンの暮らし方や考え方は、やっぱり太陽や森や湖っていう、自然がすごくかかわっているんだなと感じました。自然と一緒になって暮らしているスウェーデンの暮らし方が大好きになりました。
なので今の私の人生の目標は、スウェーデンにサマーハウスを買うことです。
ダブルダッチに魅了され、大学生活を捧げる。ただ大学に来た目的である研究室は選びたかったので、選べるくらいの最低限の勉強はぎりぎりしていた。
一人で海外に行ってやっていけるか試したいと思って参加。専門外の分野で、かなり大変なインターンでたくさん失敗もしたけど、自信もついた。
一番の変化は、私がこれから働く、生きていく上で、大事にしたいものに気づけたこと。
超短期で訪れた地に、専門を持って戻ってこられたことが嬉しかった。途上国の交通分野で働くことの実務ややりがいを、身をもって体験できた。
英語
留学前
[目安: TOEIC 700~795] 長い文でも70%くらいわかるし、論文とかも単語さえ分かればまあまあスラスラ読めちゃう。
→
留学後
[目安: TOEIC 800~895] ネイティブの速さでもある程度ついていけるし、頑張れば自己紹介で笑い取れる
私の場合、英語力をのばすというのをあまり目的に置いていなかったというのもあって、留学前も留学中も英語のための勉強!ということをしなかったというのがあります。(余裕があるなら絶対にしたほうがいいのだけれど、もともと英語への苦手意識が強かったのと、怠惰なので。)
だから留学してはじめの頃は、レクチャーの授業はわかりやすく比較的ゆっくり説明してくれるからついていけるけど、授業内でのディスカッションは早くて全然わからない、そもそもその中に入れないというのがありました。それから友達との会話も、スラングとかがたくさん出てきたり、すごく早かったりするとそこにも入れなくて大変でした。
ただそれを克服するカギは、英語力というよりは、私の日本人的な内面の変化が大きかったのかもとも思います。しゃべる前に相手に気を使いすぎていたり、優柔不断だったり、失敗を怖がったりというところです。そのことを友達に指摘されたりして、だんだんと思っていることはちゃんと言葉にして話し合ったほうがいいなと思うようになりました。それにへたくそでもしゃべらないと伝わらない。ある程度そういう勇気を持ち直すことが、ディスカッションであったり、グループワークを楽しめるようになるポイントであったかもしれません。
在学延長をしたので、そこは特に苦労していません。
もともといただいていた奨学金が、単位互換ができる交換留学なら留学期間中も継続可能であったこと、東工大に授業料を収める仕組みであったので、東工大の規定で授業料免除が適応できたことを理由に、交換留学という選択をしました。留学全期間を通して、実質的にはトビタテ留学JAPANの奨学金に、支援していただきました。物価も高く、家賃もかなり払っていたので、本当に助かりました。
経済的に留学は無理だと思っている方もいるかもしれませんが、本当に行きたいと思ったのなら、サポートしてくれる仕組みはいろいろとあります。お金だけを理由に、せっかくの機会をあきらめないでください。お金がなくたって、やる気と頑張り次第で、留学はいけます。
日本にいると、忙しくしすぎてしまって、あまり立ち止まって考える時間が取れなかったのだけれど、留学先では、好きな勉強をして、好きな研究をして、それでも時間はあります。
この留学をしていなかった自分が想像できないほど、その時間を通して価値観は大きく変わりました。だからもし、何かに悩んで、ちょっと時間がほしくなったら、留学で好きな国や街に住んでみるのはとてもいいと思います。
それから、もし早くに留学という考えが浮かんだなら、後ろのばしにせずに、ぜひ一度実行してみることをおすすめします。早いほうが、その後の選択肢も広いです。だから、ぜひとも早い時期に、3か月でも半年でも、少し長めの時間を取ってみてください。
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